伊達政宗公とDNA鑑定


 歴史関係、史実は沢山の書籍や多くの歴史愛好家の方が研究されていますので、あまり触れず、DNA検査の研究者目線で、どんなDNA解析・研究だったかを書いて行きます。

伊達政宗

 伊達政宗公は、永禄10年、1567年に生まれ、寛永3年1636年、御年68歳で亡くなりました。

 伊達正宗公のご遺体は、江戸桜田屋敷で亡くなり、その日の夜、生前同様の大名行列にて仙台に向かいました。

 そして、ご遺言により、経ヶ峯に埋葬され、墓室の上には瑞鵬殿が建立されました。

 ですが、この瑞鵬殿、昭和20年(1945)7月10日の仙台空襲により焼失してしまいます。

 時が過ぎ、瑞鵬殿の再建するに先立ち、昭和49年より伊達政宗公のお墓の発掘調査が行われ、政宗公の遺骨や副葬品が発掘されました。

 伊達家の霊廟で、初代藩主伊達政宗の瑞鳳殿、2代藩主忠宗の感仙殿、3代藩主綱宗の善応殿のほか、 9代藩主周宗・11代藩主斉義・同夫人芝姫の妙雲界廟、5代藩主吉村以降の公子公女のお子様御廟があります。
 国宝であった瑞鳳殿をはじめとする廟建築は、昭和20年(1945年)7月の仙台空襲により焼失。
 昭和54年(1979年)に瑞鳳殿、昭和60年(1985年)に感仙殿、善応殿が再建されました。
 その際の学術発掘調査で政宗所用の太刀や文箱、装飾品などが出土しました。

 これら、再建の際に行われた墓室の学術調査において、政宗公・忠宗公・綱宗公のご遺体の一部を検体として用い、 名古屋大学医学部法医学教室でHLAクラスII遺伝子型タイピングによる伊達家三藩主のDNA解析が行われました。

 墓室内の保存状態は、いずれの棺桶にも防腐剤として石灰が詰められており、良好な状態で、ご遺骨が発掘されました。

 今までに、世界中で数多くのミイラなどの考古学資料の一部を用いてDNA解析が行われていますが、 日本の場合は、高温多湿による環境に加え大戦の影響などにより、墓室がダメージを受けている場合が多く、軟部組織がミイラ化することは少なく、白骨化する場合がほとんどです。 白骨化した場合でも毛髪は残存してる場合が多く、これを検体とすることも少なくありません。

 このDNA解析では、忠宗公のみ特殊な環境下で残存していた軟部組織を用い、政宗公と綱宗公は毛髪を用いDNA鑑定が実施されました。

 通常毛髪は、ゲノムDNAが少ない上に、PCR増幅を阻害するメラニンが含まれており、簡単な検査ではありません。

 そのため、このDNA抽出には、CTAB法などを用いてPCR阻害物質を除去し、高分子DNAのみを回収する工夫が用いられました。

 これらの手法を用いて、300年~350年前の試料から、HLAクラスII遺伝子型を判定することに成功させました。

 これらから、「HLA-DQA1」と「HLA-DPB1」の遺伝子解析が行われました。

 そして、DNA鑑定結果がこちら

遺伝子名 初代藩主伊達政宗公 2代藩主忠宗公 3代藩主綱宗公
HLA-DQA1 *0103 / *0103 *0101 / *0103 *0103 / *0103
HLA-DPB1 *0402 / *0402 *0402 / *0501 *0402 / *0501

 これらの結果から、政宗公と忠宗公はHLA-DQA1の*0103と、HLA-DPB1の*0402の対立遺伝子が共通し、 忠宗公と綱宗公はHLA-DQA1の*0103と、HLA-DPB1の*0402の対立遺伝子が共通しており、いずれも生物学的父子関係に「矛盾はない」ことが確かめられました。

 対立遺伝子=簡単説明
 ヒトを含む2倍体生物は、一つの遺伝子名ごとに2個の遺伝子をワンセットとして持っています。それは、父親と母親の遺伝子を1つずつ受け継いでいるからです。子は、父親と母親のどちらか一方の遺伝子を確実に継承します。

 HLA-DQA1と言う遺伝子名の場合

政宗公「父は*0103 / *0103」と言う2つの遺伝子を持っています。
忠宗公「子は*0101 / *0103」片方はから、もう片方はから

 つまり、忠宗公の*0103と言う遺伝子は、父正宗公から継承された遺伝子と考えられ、生物学的父子関係が肯定されます。

 血縁判定は、遺伝子頻度と尤度比を用いて解析にあたりますが、分かりにくいと思いますので、簡単に書かせていただくと・・

 このDNA検査に用いられた遺伝子の、HLA-DQA1遺伝子は72通り、HLA-DPB1遺伝子は182通りに分類されます。(ですから同族間でも簡単には一致しません)
つまり、高精度なDNA鑑定が行われたのです。

 年間に、そうとうな件数のDNA親子鑑定をこなしますが、伊達家三代(父-子-孫)の遺伝子を見ると、政宗公の遺伝子、強い!・・
さすが伊達者♪

 この研究は、伊達政宗公をはじめとする伊達家三藩主という歴史的人物の三代にわたる父子関係がDNA解析によって矛盾のないことが確認された初めての事例となったのでした。

 そして、この研究は「DNA Analysis of the Three Lords of the Date Clan by HLA Class II Genotyping /  HLAクラスII遺伝子型タイピングによる伊達家三藩主のDNA解析」と題され1995年に論文発表されました。

 そして、現在はもっと進化し、伊達政宗公が送った支倉常長を団長とする遣欧使節団の子孫達のDNA解析研究が進められています。
 (そう、パポンさんです。気が付かれた方は鋭い)

 次回は、この辺りをDNA検査の研究者目線で、ご紹介していきます。



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